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近年、人材派遣業界のM&Aが増えている。ここでは、人材派遣業界の市場動向やビジネスモデル、M&Aの買い手側によるデュー・ディリジェンスにおける注意点、企業価値評価(株価算定)で使う数値(マルチプルなど)について説明する。これらから、人材派遣...
02/10/2021

近年、人材派遣業界のM&Aが増えている。ここでは、人材派遣業界の市場動向やビジネスモデル、M&Aの買い手側によるデュー・ディリジェンスにおける注意点、企業価値評価(株価算定)で使う数値(マルチプルなど)について説明する。これらから、人材派遣業界においてM&Aを成功させるためのポイントについて考えてみよう。 M&Aの多い人材派遣業界の現状 人材派遣業界の全体像を理解するために、市場動向や経営環境、ビジネスモデル、M&Aの買い手候補となる同業他社について説明する。 人材派遣業界の市場動向・経営環境 人材派遣業は、派遣するために雇用した労働者を派遣先の事業所からその業務の遂行に関する指揮命令を受けて、その事業所のための労働に従事させる事業をいう。この事業は、労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)に基づく許可制となっている。 厚生労働省の「労働者派遣事業の事業報告の集計結果」によると、人材派遣業の事業者数は、2013年の7万4千社をピークに、近年は減少が続いている。 少子高齢化に伴う労働人口の減少によって企業の人材不足が深刻化しており、専門家人材を確保する手段となる人材派遣業へのニーズは増加している。しかし、人材派遣業者にとって登録する労働者を増やすことが難しく、派遣先ニーズに対応できない状況となっている。 市場規模について、全国の一般労働者派遣事業の売上高合計は5兆円前後、特定労働者派遣事業の売上高合計は1兆億円前後で伸び悩んでいる。実際に派遣された労働者数も減少している。 今後は、人材派遣から正規雇用や社外アウトソースへ移行する企業が増えることが予想されることから、人材派遣業者の売上高は減少する可能性がある。 人材派遣業界のビジネスモデル 人材派遣業のビジネスモデルは、労働者に登録してもらい、事業所へ派遣するというものである。 労働者派遣における人材派遣業者、派遣先及び労働者の3者間の関係は、人材派遣業者と労働者との間に雇用関係があり、人材派遣業者と派遣先との間に労働者派遣契約が締結される。この契約に基づいて、派遣先は労働者を使用する。すなわち、派遣者にとって雇用関係にない企業から使用されることになる。この点において人材派遣業は、請負業者が労働者を使用することになる業務請負業と相違している。 事業所から受け取る収益と、労働者へ支払う人件費との差額が粗利となるが、平均的な粗利率は40%である。そこから、社会保険料、諸経費を控除すると、一般労働者派遣業の平均的な営業利益率は2%~4%となっており、薄利多売のビジネスである。この業界で利益率を上げるには、事業規模の拡大が求められる。 今後は、同一労働同一賃金制度の導入によって、人材派遣サービスに対するニーズが減少する可能性がある。 人材派遣業界M&Aで買い手候補となる企業 人材派遣業の事業承継を目的としたM&Aであっても、買い手候補は上場企業や大企業が中心になると考えられる。この業界では、以下のような上場企業が中心となって業界再編を進めていくことが想定される。 事務系を主体とする総合人材サービスであれば、リクルートホールディングス、パソナグループ、パーソルホールディングス、クリエアナブキ、ライク、CRGホールディングス、キャリアリンク、ヒューマンホールディングス、キャリアバンク、クイックである。 一方、製造業系であれば、アルプス技研、アウトソーシング、ワールドホールディングス、UTグループ、日総工産、夢真ビーネックスグループ、フルキャストホールディングス、フォーラムエンジニアリング、アルトナー、ウィルテック、nmsホールディングス、エスユーエス、ジェイテック、メディアファイブである。 さらに、販売系であれば、エスプール、ウィルグループ、ヒト・コミュニケーション・ホールディングスである。 人材派遣業界M&Aで売却する売り手のメリット 安定している大手企業にM&Aで人材派遣業を承継することで、従業員の雇用を維持し、事業のさらなる成長を実現することができる。また、得意先である派遣先は、多様な派遣労働者を継続して契約することもできることに加え、労働者に対して幅広い派遣先の選択肢を提供することができる。 また、小規模事業者が単独では難しかったIT投資によるデジタル化の推進よって、人材派遣業の経営効率化を実現することができる。結果として生産性が向上すれば、従業員の給与水準をアップさせることができるだろう。 さらに、買い手企業が大企業であれば、事業規模の拡大による生産性向上、登録労働者の増加によるコスト削減、人材採用コスト、広告宣伝費、本社経費を削減し、M&Aによるシナジー効果を得ることができる。 以上のような効果を得られ、買い手候補にとって魅力的な事業であれば、売り手側の経営者は、高い売却価格を実現することができる。それによって、引退した後のライフプランを充実したものとすることができる。 人材派遣業界M&Aで買収する買い手の注意点 人材派遣業界で買収を行う際、デュー・ディリジェンスにて調査すべき経営資源や注意点を説明する。 人材派遣業の買収デュー・ディリジェンスにおける注意点 人材派遣業は、労働者の派遣契約、雇用契約において法令違反が生じやすいという特徴がある。社会保険への加入は当然のこと、未払残業代が無いか調査する必要がある。 人材派遣業の事業性を評価する場合の注意点として、登録する労働者の能力向上を行っているか確かめておく必要がある。教育・訓練制度の充実、各種研修・セミナーの設置が求められる。未経験者の能力向上プランも必要だろう。 また、労働者のデータベースの充実や管理システムの高度化が重要です。個人情報の管理状況なども含めて、ITデュー・ディリジェンスが必要となるだろう。 人材派遣業の買収で承継すべき経営資源 人材派遣業では、登録されている労働者が基本となる経営資源である。労働者が働くことによって人材派遣業の収益が創出されているため、労働者に契約を継続してもらえることが重要である。 また、営業担当者の能力も重要な経営資源となる。安定的に派遣先を確保し、多様な人材を提案できること、労働者の登録を促すことができることが求められる。 これらはいずれも人的資源であるが、事業承継によって喪失されることが多いため、人材派遣業のM&Aを行う場合は、登録者、営業担当者の引継ぎに時間と労力をかけることが必要である。人的資産の承継を丁寧に行うことが重要だろう。 人材派遣業を買収するときの企業価値評価(株価算定) 人材派遣業のM&Aにおける企業価値評価(株価算定)を行う際に活用することができる財務数値は、以下の通りとなっている。 人材派遣業の評価で使う資本コストとマルチプル まず、TKC経営指標(2018年度)によれば、人材派遣業の収益性について、売上高成長率は約1.1%である。また、粗利率は45.6%、営業利益率は2.0%となっている。生産性について、1人当たり売上高は389万円、1人当たり人件費は241万円となっている。 次に、2020年8月現在の開示情報および市場株価によれば、人材派遣業のマルチプル(倍率)について、PBR倍率は2.5~3.0倍、PER倍率は10~15倍、EBITDA/企業価値倍率は6~8倍となっている。 さらに、筆者が推計する人材派遣業の株主資本コストは、安定した老舗企業であれば8%、急成長の新興企業であれば12%が妥当であると考える。これは、この類似上場企業のROICが10%~15%であることを考慮しつつ、類似上場企業のベータ値が0.8~1.2であること、ヒストリカル・マーケット・リスク・プレミアム(1950年代~2020年)が7%~9%であることを前提にして、小規模リスク・プレミアムを加算して推計している。 人材派遣業の類似上場企業比較法で採用すべき企業の例 人材派遣業を評価する類似上場企業比較法で採用すべき上場企業として、事務系であれば、クリエアナブキ、ライク、CRGホールディングス、キャリアリンク、ヒューマンホールディングス、キャリアバンク、クイックである。 一方、製造業系であれば、アウトソーシング、ワールドホールディングス、UTグループ、テクノプロ・ホールディングス、日総工産、夢真ビーネックスグループ、フルキャストホールディングス、フォーラムエンジニアリング、アルトナー、ウィルテック、nmsホールディングス、エスユーエス、ジェイテック、メディアファイブである。 さらに、販売系であれば、エスプール、ウィルグループ、ヒト・コミュニケーション・ホールディングスである。

近年、人材派遣業界のM&Aが増えている。ここでは、人材派遣業界の市場動向やビジネスモデル、M&Aの買い手側によるデュー・ディリジェン...

事業再構築補助金は生産性向上を阻害する コロナ禍のなか、事業再構築補助金の申請が活況を呈している。中小企業に対する最大6千万円の補助金である。一方で、政府系金融機関から実質無利子無保証融資に対して中小企業からの申請がある。 これらは、コロナ...
16/05/2021

事業再構築補助金は生産性向上を阻害する コロナ禍のなか、事業再構築補助金の申請が活況を呈している。中小企業に対する最大6千万円の補助金である。一方で、政府系金融機関から実質無利子無保証融資に対して中小企業からの申請がある。 これらは、コロナ・ショックに対する一時的な対応として、効果的な支援策であろう。しかし、このような支援が長期間続いたときの重大な副作用を認識しておく必要がある。 それは、経済学でいわれる「保護政策は長期的に産業競争力を弱める」という一般原則である。補助金や融資は、実は、生産性の低いゾンビ企業を延命させ、長期的な日本経済の衰退を後押ししているのだ。 ゾンビ企業は、①業績が悪く回復見込みが立たないにもかかわらず、②債権者や政府の支援により存続する企業として定義される(東京大学星教授、日本経済新聞2021年5月13日)。 事業再構築補助金の5つの再構築タイプにおいて、「事業再編」タイプはM&Aを推進するものであり、生産性向上に直接寄与するものであろう。しかし、それ以外のタイプは、結果としてゾンビ企業の延命措置にしかならないと容易に想像できる。 国の「成長戦略会議」では、中小企業の生産性向上のため、中小企業の淘汰によって、経済の新陳代謝を促進することが必要だと議論されている。中小企業の従業員の給与は、大企業の従業員の給与と比べると著しく低いのである。 日本経済全体の生産性向上を図るためには、生産性の低い中小企業が減少し、生産性の高い中小企業が増加しなければいけない。これが新陳代謝だ。 しかし、事業再構築補助金のような支援は、新陳代謝を阻害する。ゾンビ企業が延命させられ、将来性あるベンチャー企業の新規参入が進まなくなる。それゆえ、わが国の開廃業率は、諸外国と比べて著しく低いままなのである。 以上のことから、コロナ緊急対応以外の補助金、特に、ものづくり補助金や事業再構築補助金は止めたほうがいいと考える。このような補助金の予算は、ゾンビ企業ではなく、ベンチャー企業を育成するために使うべきだ。 事業再構築補助金は事業承継を阻害する 国の事業承継支援施策として、「第三者承継支援総合パッケージ」や「中小M&A推進計画」があるが、これらはM&A促進によって中小企業の生産性を向上させることを目的とする。 しかし、このように「中小M&A推進計画」を立案する一方で、事業再構築補助金でゾンビ企業を延命させていては、本末転倒である。廃業とM&Aが不可避な経営環境を国が作らなければ、中小企業の事業承継が進展しない。 古い零細企業は、現経営者の引退とともに廃業させ、他の企業へ事業承継させたほうがいい。承継する相手が中堅企業であれば、IoTなどデジタル技術を活用する資金力があり、生産性を向上させることが可能となる。転籍した従業員は給与水準が上がって幸せになる。 事業再構築補助金は、事業承継支援施策の推進を阻害しているのではないか。 事業承継によるデジタル産業への労働者移転が必要 コロナ対策で導入された実質無利子無保証の融資などを利用した中小企業には、コロナ危機以前から業績が悪化していた企業が多いと言われている(東京大学と東京商工リサーチのアンケート)。それゆえ、コロナ後の来年以降には、ゾンビ企業の過剰債務問題が一気に顕在化し、経営破綻してしまう中小企業が多発することが予想される。 その結果として生じる大量の失業者に対して、国は雇用のセーフティーネットを用意すべきだ。そこで成長事業が雇用の受け皿になるのは間違いない。 日本経済の持続的成長を図るために、ICT(情報通信技術)の活用が不可欠だと言われている(平成30年版情報通信白書)。それゆえ、ICTそのものを提供する「情報システム開発業」へ労働者を移転させなければならない。 そこで、情報システム開発業が労働者の雇用を増加させることができる支援施策を導入すべきだ。これまでゾンビ企業で雇われていた従業員が、デジタル技術を活用する技能を習得するための職業訓練制度も必要とされるだろう。 国は、ゾンビ企業へ無駄に税金を投じるよりも、デジタル人材の育成に税金を投じるべきではないか。産業構造を変えなければ、生産性向上という根本的な問題は解決しない。 私見ではあるが、経済産業省とデジタル庁が主導して、「デジタル事業支援機構(仮称)」を設立し、そこでデジタル人材を大量雇用するのはどうか。そこでの人件費と教育費は国が負担すればよい。そして、「新しい革新的な新事業のアイデア」を一般から幅広く募って、それを実現するための情報システム開発を「デジタル事業支援機構」が受託する。その結果、新事業の実現可能性が高まり、起業が促進されるものと考える。 デジタル・サービスで起業する際の最大の問題点は、新事業のアイデアを持つ若者すべてがITC利活用の技能を持っているとは限らないことだ。素晴らしい社会貢献アイデアを持つ若者が、プログラミング技能を持つとはかぎらない。情報システムの受託開発の部分だけは、行政が下請けすればいいのではないか。 事業承継支援のあり方 中小企業経営の現場で汗を流し、ギリギリの努力を続ける経営者たちの苦労を否定したくはない。しかし、次世代を生きる子どもたちに、現在のような厳しい低成長経済を引き継いでもよいのだろうか。未来の日本を見すえ、親世代が痛みを受け入れる覚悟が必要なのではないか。

事業再構築補助金は生産性向上を阻害する コロナ禍のなか、事業再構築補助金の申請が活況を呈している。中小企業に対する最大6千万円の補助金である。一方で...

「定期同額給与」、「事前確定届出給与」とは、法人税法上、損金算入が認められる役員給与のことです。役員に対して支給する給与(退職金は除きます。)のうち、「定期同額給与」および「事前確定届出給与」の要件を満たす金額は、経費に算入することができま...
01/04/2021

「定期同額給与」、「事前確定届出給与」とは、法人税法上、損金算入が認められる役員給与のことです。役員に対して支給する給与(退職金は除きます。)のうち、「定期同額給与」および「事前確定届出給与」の要件を満たす金額は、経費に算入することができます。ここでは、「定期同額給与」および「事前確定届出給与」それぞれの要件、認められるかどうか悩ましいケースについて説明いたします。 「定期同額給与」の要件 定期同額給与の要件は、支給時期が1ヵ月以下の期間ごととなっていること、事業年度の各支給時期における支給額(から源泉税等の額を控除した金額)が同額であることです。 つまり、毎月1回支払われる、一定期間を通じて同額が支払われる給与だということです。 給与改定が認められるケース 給与改定が認められますとして、改定前の各支給時期における支給額と改定後の各支給時期における支給額が、それぞれ同額の場合があります。これについて、定時改訂、臨時改訂および業績悪化改訂が認められています。 定時改定とは、事業年度開始日から3ヶ月を経過する日までに行われた給与の改定をいいます。3ヶ月経過とされているのは、役員給与の金額を決めるのが、一般的に定時株主総会だからです。増額改訂と減額改訂があります。 また、臨時改訂とは、事業年度において、役員の職制上の地位の変更、役員の職務の内容の重大な変更などやむを得ない事情によって行われた給与の額の改定をいいます。 事業年度開始日から改定前まで、改定後から事業年度終了日までがそれぞれ同額給与であることが必要です。 さらに、業績悪化改訂とは、事業年度において、法人の経営状況が著しく悪化したことなどの理由によって行われた給与の減額改定をいいます(減額改定に限定されています。)。 役員給与を期首にさかのぼって増額改訂してもよいか そもそも定期同額給与とされる役員給与は、改定前の毎月の金額と改定後の毎月の金額が同額であることが要件とされています。 この点、2月の株主総会で、期首の1月にさかのぼって役員給与を増額支給する決議があったことによって、3月の給与支給時期に1月分と2月分の役員給与の増額分を上乗せして一括支給したとすると、3月の金額だけが増加し、改定後に毎月支給すべき金額を上回ってしまいます。このような場合、定期同額給与の要件を満たさなくなり、1月分および2月分の増額支給分を加算した部分が損金不算入となります。 それゆえ、期首の1月にさかのぼって役員給与を増額支給する決議があった場合、さかのぼって支給することになった金額を、その事業年度の残存期間に毎月均等に上乗せして支払う方法を採るしかありません。これによって、定期同額給与の要件を満たし、改定後の役員給与が損金算入されます。 事業年度の途中で任意に役員給与を「増額」した場合どうなるか 定期同額給与の要件を満たさない場合、原則として、その事業年度における定期給与の支給額の全額が損金不算入となります。 期中の増額したケースでは、改定前の支給額に改定後の増額分を上乗せしたと考えることができます。すなわち、改定前の役員給与は改定後も引き続き同額が支給されているものと見るのです。 その場合、増額改定後の役員給与のうち、増額改定前から上乗せした部分の全額(残存期間分)が損金不算入となります。 事業年度の途中で任意に役員給与を「減額」した場合どうなるか 定期同額給与の要件を満たさない場合、原則として、その事業年度における定期給与の支給額の全額が損金不算入となります。 期中の減額したケースでは、改定前の支給額役員給与の上乗せ部分があり、その上乗せ部分が改訂によって消えた考えることができます。すなわち、改定後の役員給与が、事業年度を通じて同額支給されているものと見るのです。 その場合、減額改定前の役員給与のうち、減額された部分(上乗せされていた部分)の全額が損金不算入となります。 「事前確定届出給与」の要件 事前確定給与とは、役員の職務について所定の時期に確定額を支払う規定に基づいて支給する給与(退職金は除きます)で、一定期限までに税務署に届出たものをいいます。事前確定給与は、損金算入することができます。 しかし、事前確定届出給与の届出を行った給与額と実際に支給する給与額が異なっている場合は、事前確定届出給与に該当せず、原則として、支給額の全額が損金不算入となります。 事前確定届出給与の届出 事前確定届出給与に関する届出書を税務署へ出す届出期限は次の通りとなっています。 第一に、株主総会決議で支給が決まった場合、決議の日から1ヶ月以内または会計期間開始日から4ヶ月経過日のいずれか早い日が届出期限となります。 第二に、新設法人の場合、設立日から2ヶ月経過日が届出期限となります。 第三に、臨時改訂事由が生じた場合、株主総会決議による届出期限または臨時改訂事由が生じた日から1ヶ月経過日のいずれか遅い日が届出期限となります。 なお、すでに届出済みの事前確定給与の届出の内容を変更したい場合には、臨時改訂事由の変更の場合は、臨時改訂事由が生じた日から1ヶ月経過日が届出期限となります。業績悪化改訂事由の場合は、業績悪化改訂事由によってその定めの内容の変更に関する株主総会決議をした日から1ヶ月経過日が届け絵期限となります。 事前確定届出給与額と実際支給額が異なる場合 支給額が届出額と異なる場合は、事前確定届出給与として損金算入することができません。したがって、支給額が届出額よりも多い場合、逆に支給額が届出額よりも少ない場合のいずれも、すべて全額が損金不算入となります。たとえ届出額と同額を費用計上したとしても、未払いである場合も同様に損金不算入となります。 半期ごとの「事前確定届出給与」で支給額が減額された場合どうなるか? 支給額が届出額と異なる場合は、原則として、事前確定届出給与として損金算入することができません。年2回以上の支給がある場合、役員給与は定時株主総会から次の定時株主総会までが職務執行期間であることから、職務執行期間を一つの判定単位として支給額が判定されることになります。 しかし、職務執行期間が事業年度と不一致であり、決算日をまたいでしまうことから、決算前と決算後に支給された場合に異なる取扱いが行われます。 決算前(事業年度内)の1回目に支給額が届出額から減額された場合 職務執行期間を一つの判定単位としてみますと、支給額が届出額を下回っていますので、1回目の支給分と2回目の支給分のいずれも損金不算入となります。 決算後(翌事業年度)の2回目に支給額が届出額から減額された場合 職務執行期間を一つの判定単位としてみることが原則ですが、この場合、決算日をまたいでおり、1回目の支給分について決算と申告がすでに行われていることから、翌事業年度の2回目の支給分のみが損益不算入となります。これは、1回目の支給分まで損金不算入としてしまうと、課税所得の計算と申告・納税をやり直す事態が発生してしまうからです。

「定期同額給与」、「事前確定届出給与」とは、法人税法上、損金算入が認められる役員給与のことです。役員に対して支給する給与(退職金は除きます。)のうち、「定期同額給与」および「事前確定届出給与」の要件を...

M&Aの売り手は、売却によって受取る対価(売却価格)の最大化を目指し、最適な買い手を探します。買い手探しの方法、売却価格の相場は業界によって異なります。これに対して、M&Aの買い手は、デュー・ディリジェンスを実施し、買収する対象事業の経営資...
27/03/2021

M&Aの売り手は、売却によって受取る対価(売却価格)の最大化を目指し、最適な買い手を探します。買い手探しの方法、売却価格の相場は業界によって異なります。これに対して、M&Aの買い手は、デュー・ディリジェンスを実施し、買収する対象事業の経営資源を精査します。デュー・ディリジェンスの注意点、承継すべき経営資源は業界によって異なります。ここでは、業種別M&Aの成功のポイントをまとめてみました。 情報システム受託開発業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 中古建設機械業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 Webメディア業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 印刷業界のM&Aと企業価値評価 自動車販売店(ディーラー)業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 自動車整備業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 スポーツ用品製造業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 通所介護(デイサービス)業界のM&Aと企業価値評価 保険代理店業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 コピー複合機リース業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 トラック運送業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 タクシー業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 ドラッグストア業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 化粧品製造業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 モバイルアプリ・コンテンツ業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 インターネット広告業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 クリーニング業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 学習塾・予備校業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 葬儀業界のM&Aと企業価値評価 エステティックサロン業界のM&Aと企業価値評価 美容院・理容店業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 居酒屋のM&A(買収・売却)と企業価値評価 警備業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 給食業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 ビルメンテナンス業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 不動産仲介業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 自動車部品製造業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 医療用機器卸売業界(ディーラー)のM&A(買収・売却)と企業価値評価 医療用機器製造業界のM&A(買収・売却)と企業価値評価 電子部品・デバイス製造業界のM&Aと企業価値評価...

M&Aの売り手は、売却によって受取る対価(売却価格)の最大化を目指し、最適な買い手を探します。買い手探しの方法、売却価格の相場は業界によって...

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25/03/2021

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事業再構築補助金の申請時の事業計画は、「事業再構築指針」に従って作成されなければいけません。新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編の5つの再構築パターンがあります。ここでは中小企業が係る事業再構築指針について、わかりやすく解説し...
21/03/2021

事業再構築補助金の申請時の事業計画は、「事業再構築指針」に従って作成されなければいけません。新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編の5つの再構築パターンがあります。ここでは中小企業が係る事業再構築指針について、わかりやすく解説しましょう。 事業再構築のパターンは5つ 中小企業の事業再構築のパターンは、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換の4つ、それに事業再編(M&A)を加えた5パターンとなっています。 申請できる中小企業の定義、申請手続き、スケジュールについては、こちらの記事を読んでみよう。事業再構築補助金の申請手続きのわかりやすい解説 日本標準産業分類 日本標準産業分類とは、「モノやサービスを生産又は提供するところ」を経済活動別に分類するためのものとして、総務省が定めている分類です。 事業再構築補助金では、大分類を「業種」、中分類以下を「業態」として定義しています。 申請書を作成する際には、総務省の検索システムを使用して該当するものを探せばよいでしょう。 「新分野展開」による事業再構築 新分野展開とは、新たな製品・商品・サービスで新しい業種へ進出することをいいます。既存事業はそのまま継続し、廃業や縮小は行いません。新規事業を新たに立ち上げます。 製品・商品・サービスの新規性要件 新分野展開では、以下の4つをすべて満たし、それを事業計画で示すことが必要です。 1.過去に製造・販売した実績がないこと 2.主要な設備を変更することこの点、製造・販売設備を単に性能の良いものに買い換えることはNGです。 3.競合他社が既に販売している製品ではないことこれは、新製品・商品・サービスの競合ではなく既存の製品等が競合しているということです。例えば、ケーキ屋がプリンを販売するというケースでは、他のケーキ屋は既にプリンを販売しているのであれば、NGということになります。 4.定量的に性能又は効能が異なることここで、計測できない場合は、計測できない理由を示すことが必要です。また、計測できたとしても、ほとんど差がない場合はNGです。 要件を満たさないケースの具体例として、単に既存製品の製造量を増やすだけのケース、既存の部品を改変するだけ、既存の部品の組み合わせを変えるだけのケースがあります。 市場・顧客の新規性要件 市場や顧客の新規性要件として、既存製品・商品・サービスと新製品等の代替性が低いことが求められます。 これは、新製品・商品・サービスの売上増加が、既存製品等の売上減少をもたらさないということです。例えば、アイスクリーム店がかき氷を新発売するというケースでは、かき氷の売上増加によってアイスの売上が減少するのであれば、NGということになります。 ただし、加点事由があります。それは、顧客層が異なることです。すなわち、年齢層、性別、所得、職業、地域、資産、家族構成において対象が異なっていれば、加点されることになります。 要件を満たさないケースの具体例として、新製品が既存製品の市場の一部のみを対象とするだけのケースがあります。例えば、アイスクリーム店が、新たにチョコアイスを新発売するようなケースでは、新規性があると認めることはできません。 売上高10%要件 3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品・商品・サービスの売上高が会社の総売上高の10%以上となる計画を策定することが必要です。 新分野展開において、既存事業・商品・サービスを廃業・縮小するわけではないため、売上高の構成比を最高にする必要はありません。 ただし、売上高構成比が大きくなるにしたがって点数が高くなります。 「事業転換」による事業再構築 事業転換とは、製品・商品・サービスで新事業へ進出することをいいます。既存事業を廃業または縮小し、その代わりに同じ業種で異なる新事業を成長させるというものです。 製品・商品・サービスの新規性要件 新分野展開では、以下の4つをすべて満たし、それを事業計画で示すことが必要です。 1.過去に製造・販売した実績がないこと 2.主要な設備を変更することこの点、製造・販売設備を単に性能の良いものに買い換えることはNGです。 3.競合他社が既に販売している製品ではないことこれは、新製品・商品・サービスの競合ではなく既存の製品等が競合しているということです。例えば、ケーキ屋がプリンを販売するというケースでは、他のケーキ屋は既にプリンを販売しているのであれば、NGということになります。 4.定量的に性能又は効能が異なることここで、計測できない場合は、計測できない理由を示すことが必要です。また、計測できたとしても、ほとんど差がない場合はNGです。 要件を満たさないケースの具体例として、単に既存製品の製造量を増やすだけのケース、既存の部品を改変するだけ、既存の部品の組み合わせを変えるだけのケースがあります。 市場・顧客の新規性要件 市場や顧客の新規性要件として、既存製品・商品・サービスと新製品等の代替性が低いことが求められます。 これは、新製品・商品・サービスの売上増加が、既存製品等の売上減少をもたらさないということです。例えば、アイスクリーム店がかき氷を新発売するというケースでは、かき氷の売上増加によってアイスの売上が減少するのであれば、NGということになります。 ただし、加点事由があります。それは、顧客層が異なることです。すなわち、年齢層、性別、所得、職業、地域、資産、家族構成において対象が異なっていれば、加点されることになります。 要件を満たさないケースの具体例として、新製品が既存製品の市場の一部のみを対象とするだけのケースがあります。例えば、アイスクリーム店が、新たにチョコアイスを新発売するようなケースでは、新規性があると認めることはできません。 売上高構成比要件 3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品・商品・サービスの事業が、会社の総売上高に占める構成比において、最高の事業となることが必要です。 事業転換では、既存の事業を廃業・縮小することになりますので、必然的に新事業の売上高構成比は最高となります。 「業種転換」による事業再構築 業種転換とは、製品・商品・サービスで新業種へ進出することをいいます。既存業種の既存事業を廃業又は縮小し、新しい業種の新事業を立ち上げることになります。 製品・商品・サービスの新規性要件 新分野展開では、以下の4つをすべて満たし、それを事業計画で示すことが必要です。 1.過去に製造・販売した実績がないこと 2.主要な設備を変更することこの点、製造・販売設備を単に性能の良いものに買い換えることはNGです。 3.競合他社が既に販売している製品ではないこと...

事業再構築補助金の申請時の事業計画は、「事業再構築指針」に従って作成されなければいけません。新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編の5つの再構築パターンがあります。ここでは中小企業が係る事...

事業承継とは、株式の相続やM&Aの問題だと思われる方が多いですが、企業経営を次の社長に引継ぐことも問題です。ここでは経営承継を考えましょう。 経営承継のために事業を存続させるにはどうすべきか? 事業承継は、会社の支配権を次の社長に引継ぐこと...
21/02/2021

事業承継とは、株式の相続やM&Aの問題だと思われる方が多いですが、企業経営を次の社長に引継ぐことも問題です。ここでは経営承継を考えましょう。 経営承継のために事業を存続させるにはどうすべきか? 事業承継は、会社の支配権を次の社長に引継ぐことですので、確かに株式の承継(相続やM&A)は重要な問題です。 しかし、事業承継の「事業」つまり企業経営の承継も意外と難しい手続きとなり、それが問題となることがあります。 事業承継を行うような老舗企業は、昔からの経営環境が大きく変化する局面に直面していることでしょう。このような変化に応じて、事業内容を変えていくことも必要とされます。 赤字になっていると後継者は承継しようとは思わないはずです。将来の黒字を確保できるよう、継続的な付加価値の提供が可能となる状態を取り戻さなければいけません。 そのためには、これまで築いてきたビジネス・モデルやのれん、顧客関係、ブランドを承継することはもちろん、新しい時代に適応できる商品開発力、技術力、新しいビジネス・モデルが必要となります。 これら目に見えない経営資源のことを、「無形資産」といいます。事業承継には、この無形資産の明確化が必要となるのです。 無形資産を正しく認識することができれば、事業承継は半分成功したようなものです。しかし、無形資源は、現経営者や従業員の頭の中に入っている見えないものです。技術、ノウハウ、顧客関係など無形資源は、人から人へ伝達しなければいけません。コミュニケーションを通じた情報共有が必要でしょう。それによって、これら無形資産を後継者に移転することが、経営承継の目的となります。 経営承継を子供が行う必要はない ある製造業の会社にとって、高い技術力が最大の無形資産となっているとしましょう。それを容易に承継することができるでしょうか。 その技術がマニュアル化されている場合には、そのマニュアルを渡してあげれば承継できます。しかし、技術を持つのが経営者個人や従業員である場合には、目に見えないため、承継することは難しいものでしょう。 もし経営者や従業員が突然の病気で引退してしまった場合はどうすればいいでしょうか。技術を承継できる者がいないため、無形資産を維持することができず、会社の存続が難しくなってしまいます。 一般的に、無形資産が経営者や従業員の個人的能力に依存している場合には、経営承継に時間を要するといわれています。そのような場合、無形資産をマニュアルなどに明文化したり、OJTで人から人へ承継したりするなど、組織的に承継する手続きが必要となります。後継者には無形資産の習得のために時間をかけて教育する必要があります。 無形資産を維持するための仕組みの構築はとても難しいものです。後継者と想定していた子供が、これら無形資産を承継することができないと判断された場合、M&Aを検討すべきケースもあるでしょう。後継者に無理させるよりも、第三者に承継してもらうほうがよいケースがあるのです。 経営承継のためにワンマン経営から組織的経営へ移行しよう オーナー企業の場合、技術、ノウハウ、営業力、顧客関係などの無形資産が、従業員ではなく経営者個人に帰属しているケースがほとんどです。 しかし、偉大な経営者個人に集中していた無形資産を、子供や従業員が承継することは、経営者としての能力という点において難しい問題となります。 そこで、このような個人への一極集中の状況を変えて、組織全体での共有という状況を作らなければいけません。つまり、経営者によるワンマン経営から、組織的な経営体制に移行する必要があるのです。経営承継にはこれが不可欠となります。 すなわち、経営者個人が行っていた仕事を従業員へ権限移譲し、無形資産を組織全体で共有できる仕組みを作ることが必要です。無形資産を分散して共有しなければいけません。経営の組織的分化および事務分掌の明確化によって、経営者個人への依存度を低くすることが必要となります。 注意すべき点は、組織的な経営体制に移行すると、権限が分散し、経営者が引っ張ってきた求心力が低下してしまうおそれがあることです。そこで、新たな求心力となりうるメンタル面での指針、すなわち「経営理念」を確立し浸透させなければなりません。 経営承継には早めの対策が必要 後継者の選定には、現経営者の引退の時期が関連しています。仮に現在65歳で、70歳に引退すると決めますと、それまでに後継者の問題を解決し、後継者に経営を承継しなくてはなりません。つまり、5年の猶予しか残されていないということです。 経営承継の時期は、現経営者の体力や健康状態を考慮に入れつつ、後継者教育に必要な時間を勘案して決めるべきでしょう。経営承継を行うと決めたならば、社内への公表や取引先企業及び金融機関への告知時期も検討することが必要となります。 具体的には、現経営者の意向と健康状態に応じて、経営承継の時期を決めましょう。いつまでも元気で精力的に働くことができる自信があったとしても、肉体的・精神的な老化現象は避けられないことです。 現経営者としては、いつまでも自分のやり方で経営を続けたいと思うかもしれませんが、老化による不適切な経営判断が企業経営に及ぼす弊害も無視できません。元気なうちに引退しておいたほうが安全だというケースがあります。後継者へ計画的に経営承継を行っていく必要があります。 また、現経営者が引退を決意した場合、役職員や関係者が心理的、物理的にその決定を受け入れるかどうかが問題となりますが、周囲の人たちは何の説明を受けていない状況のまま突然の相続が発生するような事態が最悪です。会社の支配権争いやクーデターが起きるケースがあります。現経営者が元気なうちに関係者への周知を図り、理解を得ることが必要なのです。

事業承継とは、株式の相続やM&Aの問題だと思われる方が多いですが、企業経営を次の社長に引継ぐことも問題です。ここでは経営承継を考えましょう。...

近年、Webメディア業界のM&Aが増えている。ここでは、Webメディア業界の市場動向やビジネスモデル、M&Aの買い手側によるデュー・ディリジェンスにおける注意点、企業価値評価(株価算定)で使う数値(マルチプルなど)について説明する。これらか...
21/02/2021

近年、Webメディア業界のM&Aが増えている。ここでは、Webメディア業界の市場動向やビジネスモデル、M&Aの買い手側によるデュー・ディリジェンスにおける注意点、企業価値評価(株価算定)で使う数値(マルチプルなど)について説明する。これらから、Webメディア業界においてM&Aを成功させるためのポイントについて考えてみよう。 M&Aの多いWebメディア業界の現状 Webメディア業界の全体像を理解するために、市場動向や経営環境、ビジネスモデル、M&Aの買い手候補となる同業他社について説明する。 Webメディア業界の市場動向・経営環境 Webメディア業は、インターネットのWebサイト上でテキスト文字、画像、音声、動画などのコンテンツによって情報提供し、ユーザーから対価を得たり、広告主から広告料を受け取ったりする事業者のことをいう。 インターネットのユーザーは増加傾向にあるため、市場は拡大傾向にあるものの、誰もが個人で簡単に情報発信できるようになったため、提供する情報を差別化し、十分な広告料を得ることが難しくなってきている。 矢野経済研究所の「インターネット広告市場規模推移と予測」によれば、インターネット広告の国内市場は2018年に1兆6千億円であったが、2023年には2兆8千億円まで増加すると予想されている。この増加の主たる要因は、スマートフォン広告の増加であり、近年では、全体の約7割がスマートフォン利用者に対する広告とのことである。 Webメディア業界のビジネスモデル Webメディア業のビジネスモデルは、他のメディアの記事を収集してまとめるキュレーション・サイトと、自社で記事を制作して発信するオンライン・メディアに大別される。 オンライン・メディアの場合は、制作費や取材費をかけてコンテンツを制作する。それを記事として配信し、ユーザーを集め、その記事と併せて配信される広告(Google Adsenseなど)への誘導を図るのである。Webメディアは、この広告のクリック数に応じて広告主から広告料を得る。 一般的に、配信される情報は無料であり、そこでページ・ビューを増やして広告料を収益源とするビジネスが基本であった。広告は、Googleによるターゲット広告が中心である。しかし、近年は、配信される情報を有料化するケースが出てきている。 Webメディア業界M&Aで買い手候補となる企業 Webメディア業の事業承継を目的としたM&Aであっても、買い手候補は上場企業や大企業が中心になると考えられる。この業界では、以下のような大企業が中心となって業界再編を進めていくことが想定される。 エムティーアイ、フェイス、モバイルファクトリー、インタースペース(2122)、メンバー(2130)、クルーズ(2138)、アイティメディア(2148)、マーケットエンタープライズ(3135)、じげん(3679)、リアルワールド(3691)、シンクロ・フード(3963)、イノベーション(3970)、ZUU(4387)、ロコガイド(4497)、イード(6038)、イトクロ(6049)、GMOメディア(6180)、ポート(7047)、きずなホールディングス(7086)である。 Webメディア業界M&Aで売却する売り手のメリット 安定している大手企業にM&AでWebメディア業を承継することで、優良なコンテンツの活用を維持し、Webメディアのさらなる成長を実現することができる。また、得意先である一般ユーザーは、お気に入りのWebメディアを継続して閲覧することもできることに加え、ライターなどの仕入先との関係を継続することができる。 また、小規模事業者が単独では難しかった最新技術の導入によるWebサイトの高度化よって、ページ・ビューの増加を実現することができる。結果としてページ・ビューが向上すれば広告料収入が増加し、従業員の給与水準をアップさせることができるだろう。 さらに、買い手企業が大手Webメディアであれば、サイトの相互リンクによる回遊率の向上、相互の被リンクによるSEO効果や、ライター獲得コスト、本社経費を削減し、M&Aによるシナジー効果を得ることができる。 以上のようなシナジー効果が期待され、買い手候補にとって魅力的な事業であれば、売り手側の経営者は、高い売却価格を実現することができ、引退した後のライフプランを充実したものとすることができる。 Webメディア業界M&Aで買収する買い手の注意点 Webメディア業界で買収を行う際、デュー・ディリジェンスにて調査すべき経営資源や注意点を説明する。 Webメディア業の買収デュー・ディリジェンスにおける注意点 Webメディア業は、新しい技術への対応を続けること、良質な記事を配信し続けることが求められ、継続的にシステム開発やコンテンツ制作のコストが発生するという特徴がある。SEO効果が発揮され、検索サイトに上位表示されるまで3ヶ月から6ヶ月かかると言われており、それまで広告料は少ないものの支出が先行するため、資金繰りが悪化する。良質な記事の制作によって、将来の広告料収入を生み出すコンテンツとなっているか、確かめる必要があるだろう。 Webメディア業の事業性を評価する場合の注意点として、Webメディアのアクセス回数、閲覧数がある。インターネット広告は、クリック数によって課金されるものであり、掲載する広告のクリック数を増やすことによってWebメディアの収益は増加する。それゆえ、SEO効果を高めることだけに注力され、品質の低いコンテンツばかりが提供されるWebメディアもある。検索サイトでの上位表示と記事の品質の高さは両立しないため、注意が必要だろう。 また、既存のコンテンツが著作権法や個人情報保護法に違反していないか、コンプライアンスの調査が必要とされるだろう。 Webメディア業の買収で承継すべき経営資源 Webメディア業では、既存のコンテンツ(記事、画像、動画)が基本となる経営資源である。これらが蓄積して無形資産となり、将来の収益を生み出すこととなるからである。 また、将来の成長を図るためには、継続的にコンテンツを制作する必要があるため、優秀なエンジニアとライターや編集者、SEO効果を発揮させるマーケターが経営資源となる。Webサイトだけでなく、人的資源の承継も必要となるだろう。 無形資源は、事業承継によって喪失されることが多いため、Webメディア業のM&Aを行う場合は、顧客関係の引継ぎに時間と労力をかけるなど、無形資産の承継を丁寧に行うことが重要だろう。 Webメディア業を買収するときの企業価値評価(株価算定) Webメディア業のM&Aにおける企業価値評価(株価算定)を行う際に活用することができる財務数値は、以下の通りとなっている。 Webメディア業の評価で使う資本コストとマルチプル まず、Webメディア業の収益性は詳しく開示されていないものの、成長性、収益性はいずれも高いと推測される。 2020年8月現在の開示情報および市場株価によれば、Webメディア業のマルチプル(倍率)について、PBR倍率は3~4倍、PER倍率は30~50倍、EBITDA/企業価値倍率は15~20倍となっている。 さらに、筆者が推計するWebメディア業の株主資本コストは10%が妥当であると考える。これは、この類似上場企業のROICが8~10%であることを考慮しつつ、類似上場企業のベータ値が0.9~1.1であること、ヒストリカル・マーケット・リスク・プレミアム(1950年代~2020年)が7%~9%であることを前提にして、小規模リスク・プレミアムを加算して推計している。 Webメディア業の類似上場企業比較法で採用すべき企業の例 Webメディア業を評価する類似上場企業比較法で採用すべき上場企業として、エムティーアイ(9438)、フェイス(4295)、モバイルファクトリー(3912)、インタースペース(2122)、メンバーズ(2130)、クルーズ(2138)、アイティメディア(2148)、マーケットエンタープライズ(3135)、じげん(3679)、リアルワールド(3691)、シンクロ・フード(3963)、イノベーション(3970)、ZUU(4387)、ロコガイド(4497)、イード(6038)、イトクロ(6049)、GMOメディア(6180)、ポート(7047)、きずなホールディングス(7086)が挙げられる。

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20/02/2021

近年、情報システム受託開発業界のM&Aが増えている。ここでは、情報システム受託開発業界の市場動向やビジネスモデル、M&Aの買い手側によるデュー・ディリジェンスにおける注意点、企業価値評価(株価算定)で使う数値(マルチプルなど)について説明する。これらから、情報システム受託開発業界においてM&Aを成功させるためのポイントについて考えてみよう。 M&Aの多い情報システム受託開発業界の現状 情報システム受託開発業界の全体像を理解するために、市場動向や経営環境、ビジネスモデル、M&Aの買い手候補となる同業他社について説明する。 情報システム受託開発業界の市場動向・経営環境 情報システム受託開発業は、特定のユーザーからの委託に基づき、オーダーメードの情報システムの設計や開発業務を行う情報処理サービス業のことをいう。 このうち、情報システムの企画から構築、運用までのサービスを一括して受託する事業者のことをシステム・インテグレーター(SIer)と呼ぶ。付随業務として、コンピューターを用いた計算、データ入力、情報システムの管理運用受託、パッケージソフトウェアの開発などがある。 情報システム受託開発業界の特徴は、元請けシステム・インテグレーターを頂点としたピラミッド構造を形成していることです。下請け業者への外注が行われ、ゼネコンを頂点とする建設業界と似たような労働集約的なピラミッドです。メーカー系列、ユーザー系列、独立系列など様々なピラミッドがある。 下請けピラミッドの底辺では、受注単価は元請け単価の3分の1程度まで低下していることが多く、下層になるにしたがって収益性が低下する。 経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」によれば、情報システム受託開発業界の国内市場は、2006年の10兆9千億円から2017年の11兆3千億円と増加傾向にある。 情報システム受託開発業界のビジネスモデル 情報システム受託開発業のビジネスモデルは、調査・分析からはじまり、設計(要件定義、システム設計、プログラム設計)、開発(プログラミング)、テスト、そして保守・運用というプロセスで進められる。 取引形態には、請負と派遣がある。請負は、ユーザーまたは元請けから委託された情報システムの開発を納期までに完了させるというものである。一方の派遣は、ユーザーまたは元請けの現場に従業員を派遣して働かせるというものである。 情報システム受託開発業界M&Aで買い手候補となる企業 情報システム受託開発業の事業承継を目的としたM&Aであっても、買い手候補は上場企業や大企業が中心になると考えられる。この業界では、以下のような大企業が中心となって業界再編を進めていくことが想定される。 NSD、日本システムウエア、TDCソフト、ジャステック、フォーカスシステムズ、ヴィンクス、Minoriソリューションズ、コア、CIJ、アイ・エス・ビー、日本システム技術、電算、インフォコム、東邦システムサイエンス、クロスキャット、ソルクシーズ、さくらケーシーエス、キーウェアソリューションズ、SIG、アイエックス・ナレッジ、菱友システムズ、エヌアイデイ、両毛システムズ、クエスト、ソーバル、パシフィックシステム、ディ・アイ・システム、カイカ、システムズ・デザイン、データリンクス、大和コンピュータ、データ・アプリケーション、ソフィアホールディングス、KYCOMホールディングスである。 情報システム受託開発業界M&Aで売却する売り手のメリット 安定している大手企業にM&Aで情報システム受託開発業を承継することで、従業員の雇用を維持し、事業のさらなる成長を実現することができる。また、得意先であるユーザーや元請けシステム・インテグレーターは、重要な開発業者(下請け業者)との取引を継続することができることに加え、下請け業者との関係を継続することができる。 また、小規模事業者が単独では難しかったAI・クラウド・IT投資による技術開発よって、情報システム受託開発業の高度化を実現することができる。結果として生産性が向上すれば、従業員の給与水準をアップさせることができるだろう。 さらに、買い手企業が大企業であれば、事業規模の拡大による生産性向上、人材採用コスト、広告宣伝費、本社経費を削減し、M&Aによるシナジー効果を得ることができる。 以上のようなシナジー効果が期待され、買い手候補にとって魅力的な事業であれば、売り手側の経営者は、高い売却価格を実現することができ、引退した後のライフプランを充実したものとすることができる。 情報システム受託開発業界M&Aで買収する買い手の注意点 情報システム受託開発業界で買収を行う際、デュー・ディリジェンスにて調査すべき経営資源や注意点を説明する。 情報システム受託開発業の買収デュー・ディリジェンスにおける注意点 情報システム受託開発業では、プログラムやデータなど情報という無形資産を取り扱うため、情報セキュリティの確保が重要となる。従業員の退職の際に他社へプログラムを持ち出されることは深刻な問題となる。事務所内の情報セキュリティ管理体制を調査することは不可欠だろう。 従業員の能力と経験は、会社全体の収益性に結びつくため、主たる従業員には個別に面接を行い、その能力を評価することが必要だろう。 システム・インテグレーターのような同業者から下請けを行う場合、月末締め翌月末回収で収入を得ることができるため、資金繰りに問題は生じない。 一方、システム・インテグレーターの場合、請負契約に基づき情報システム完成時の一括入金となることから、人件費の支出が先行し、多額の運転資金を必要とします。資金繰りの状況には注意が必要となる。計画していた作業量を実際に大幅に超過してしまい、赤字に陥るケースがあるため、プロジェクト管理機能を持つ管理者が必要となる。 情報システム受託開発業の事業性を評価する場合の注意点として、大口得意先との関係性の強さがある。情報システム受託開発業では、営業によって新規案件を獲得することが難しいため、既存の安定的な顧客基盤を継続させることができるかどうかがポイントとなる。 また、上場企業との取引を行う企業の場合、架空循環取引によって売上高を水増ししているケースがあるため、要注意である。取引実態をしっかりと把握しなければいけない。 情報システム受託開発業の買収で承継すべき経営資源 情報システム受託開発業では、従業員が基本となる経営資源です。情報システムの多様化や高度化に対応するために能力の高いIT人材の確保や育成が重要であり、これらの人的資源を確実に承継しなければいけない。 また、下請け企業であれば、元請けシステム・インテグレーターとの継続的な関係性が経営資源となる。特定の大口固定の顧客(ユーザーや元請け)に対する売上に依存していることが多く、その契約が切れてしまうと、事業の存続が危うくなってしまう。大口顧客との取引基本契約は確実に承継しなければいけない。 無形資源は、事業承継によって喪失されることが多いため、情報システム受託開発業のM&Aを行う場合は、顧客関係の引継ぎに時間と労力をかけるなど、無形資産の承継を丁寧に行うことが重要だろう。 情報システム受託開発業を買収するときの企業価値評価(株価算定) 情報システム受託開発業のM&Aにおける企業価値評価(株価算定)を行う際に活用することができる財務数値は、以下の通りとなっている。 情報システム受託開発業の評価で使う資本コストとマルチプル まず、TKC経営指標(2018年度)によれば、情報処理サービス業の収益性について、売上高成長率は約▲7.2%です。また、粗利率は42.1%、営業利益率は1.8%となっている。生産性について、1人当たり売上高は892万円、1人当たり人件費は433万円となっている。 また、受託開発ソフトウェア業の収益性について、売上高成長率は約4.4%である。また、粗利率は50.5%、営業利益率は3.8%となっている。生産性について、1人当たり売上高は1,119万円、1人当たり人件費は533万円となっている。 次に、2020年8月現在の開示情報および市場株価によれば、情報システム受託開発業のマルチプル(倍率)について、PBR倍率は1.5~1.7倍、PER倍率は15~20倍、EBITDA/企業価値倍率は6~7倍となっている。 さらに、筆者が推計する情報システム受託開発業の株主資本コストは9%が妥当であると考える。これは、この類似上場企業のROICが8~9%であることを考慮しつつ、類似上場企業のベータ値が0.7~0.8であること、ヒストリカル・マーケット・リスク・プレミアム(1950年代~2020年)が7%~9%であることを前提にして、小規模リスク・プレミアムを加算して推計している。 情報システム受託開発業の類似上場企業比較法で採用すべき企業の例 情報システム受託開発業を評価する類似上場企業比較法で採用すべき上場企業として、ジャステック(9717)、フォーカスシステムズ(4662)、コア(2359)、CIJ(4826)、アイ・エス・ビー(9702)、電算(3640)、東邦システムサイエンス(4333)、クロスキャット(2307)、ソルクシーズ(4284)、さくらケーシーエス(4761)、キーウェアソリューションズ(3799)、アイエックス・ナレッジ(9753)、エヌアイデイ(2349)、両毛システムズ(9691)、クエスト(2332)、パシフィックシステム(3847)、システムズ・デザイン(3766)が挙げられる。

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近年、中古建設機械取扱業界のM&Aが増えている。ここでは、中古建設機械取扱業界の市場動向やビジネスモデル、M&Aの買い手側によるデュー・ディリジェンスにおける注意点、企業価値評価(株価算定)で使う数値(マルチプルなど)について説明する。これ...
17/02/2021

近年、中古建設機械取扱業界のM&Aが増えている。ここでは、中古建設機械取扱業界の市場動向やビジネスモデル、M&Aの買い手側によるデュー・ディリジェンスにおける注意点、企業価値評価(株価算定)で使う数値(マルチプルなど)について説明する。これらから、中古建設機械取扱業界においてM&Aを成功させるためのポイントについて考えてみよう。 M&Aの多い中古建設機械取扱業界の現状 中古建設機械取扱業界の全体像を理解するために、市場動向や経営環境、ビジネスモデル、M&Aの買い手候補となる同業他社について説明する。 中古建設機械取扱業界の市場動向・経営環境 中古建設機械取扱業は、建設工事に仕様する中古の建設機械器具をリース・レンタルまたは販売する事業者のことをいう。 近年は、建設業の経営合理化のため、機械器具を購入するのではなくリース・レンタルする企業が増えてきた。建設機械器具のレンタル需要は増加が続いている。 中古建設機械取扱業界のビジネスモデル 中古建設機械取扱業のビジネスモデルは、中古の建設機械器具を仕入れ、それを顧客へ販売するというものである。取り扱う機械として、油圧ショベル、掘削機械、整地機械、ロードローラ、ランマ、アスファルト舗装機械、建設用クレーンなどの中古機械である。金融取引である長期のリース、短期利用サービス提供のレンタルの両方がある。 中古建設機械取扱業界M&Aで買い手候補となる企業 中古建設機械取扱業の事業承継を目的としたM&Aであっても、買い手候補は上場企業や大企業が中心になると考えられる。この業界では、以下のような大企業が中心となって業界再編を進めていくことが想定される。 カナモト、西尾レントオール、ワキタ、アルインコ、前田製作所、ナガワ、サコス、ニッパンレンタル、サンセイ、ユーピーアール、中道リース、九州リースサービスである。 中古建設機械取扱業界M&Aで売却する売り手のメリット 安定している大手企業にM&Aで中古建設機械取扱業を承継することで、従業員の雇用を維持し、事業のさらなる成長を実現することができる。また、得意先である土木建設業者は、機械器具を継続して利用することもできることに加え、建設機械メーカーなどの仕入先との関係を継続することができる。 また、小規模事業者が単独では難しかったIT投資によるデジタル化の推進よって、中古建設機械取扱業の経営効率化を実現することができる。結果として生産性が向上すれば、従業員の給与水準をアップさせることができるだろう。 さらに、買い手企業が大企業であれば、営業拠点数の拡大による生産性向上、大量仕入れによる取得価額の引下げや、人材採用コスト、広告宣伝費、本社経費を削減し、M&Aによるシナジー効果を得ることができる。 以上のようなシナジー効果が期待され、買い手候補にとって魅力的な事業であれば、売り手側の経営者は、高い売却価格を実現することができ、引退した後のライフプランを充実したものとすることができる。 中古建設機械取扱業界M&Aで買収する買い手の注意点 中古建設機械取扱業界で買収を行う際、デュー・ディリジェンスにて調査すべき経営資源や注意点を説明する。 中古建設機械取扱業の買収デュー・ディリジェンスにおける注意点 中古建設機械取扱業は、多額の建設機械を所有しなければいけないという特徴がある。日本建設機械工業会の中古車査定制度などを活用して、所有する中古機械の適正な評価を実施しなければいけない。 また、長期のリース取引であれば、営業債権の回収可能性を適性に評価しなければいけない。顧客である土木建築業者は景気に左右されやすい業種であり、貸し倒れが発生しやすいからである。 中古建設機械取扱業の事業性を評価する場合の注意点として、借入金の金利水準がある。多額の借入れに依存する事業であり、金利上昇が業績の悪化をもたらすからである。 中古建設機械取扱業の買収で承継すべき経営資源 中古建設機械取扱業では、顧客との長期リース契約、所有する機械器具が基本となる経営資源である。また、機械器具のメンテナンスを行う必要があるため、技術系人材の承継も重要である。 一方で、建設機械を取得するための銀行借入金も引受けなければいけない。資産と負債のほとんどは、金融取引に基づく債権債務であるので、契約関係の承継は丁寧に行う必要がある。 また、顧客関係の引継ぎに時間と労力をかけるなど、無形資産の承継を丁寧に行うことが重要だろう。 中古建設機械取扱業を買収するときの企業価値評価(株価算定) 中古建設機械取扱業のM&Aにおける企業価値評価(株価算定)を行う際に活用することができる財務数値は、以下の通りとなっている。 中古建設機械取扱業の評価で使う資本コストとマルチプル まず、TKC経営指標(2015年度)によれば、中古建設機械取扱業の収益性について、売上高成長率は約17.5%である。また、粗利率は37.3%、営業利益率は5.8%となっている。生産性について、1人当たり売上高は2,676万円、1人当たり人件費は542万円となっている。 次に、2020年8月現在の開示情報および市場株価によれば、中古建設機械取扱業のマルチプル(倍率)について、PBR倍率は0.8~1.4倍、PER倍率は10~20倍、EBITDA/企業価値倍率は5~7倍となっている。 さらに、筆者が推計する中古建設機械取扱業の株主資本コストは、安定した老舗企業であれば8%、急成長の新興企業であれば12%が妥当であると考える。これは、この類似上場企業のROICが5~7%であることを考慮しつつ、類似上場企業のベータ値が0.8~0.9であること、ヒストリカル・マーケット・リスク・プレミアム(1950年代~2020年)が7%~9%であることを前提にして、小規模リスク・プレミアムを加算して推計している。 中古建設機械取扱業の類似上場企業比較法で採用すべき企業の例 中古建設機械取扱業を評価する類似上場企業比較法で採用すべき上場企業として、カナモト(9678)、西尾レントオール(9699)、ワキタ(8125)、前田製作所(6281)、ナガワ(9663)、サコス(9641)、ニッパンレンタル(4669)、サンセイ(6307)、ユーピーアール(7065)、九州リースサービス(8596)が挙げられる。

近年、中古建設機械取扱業界のM&Aが増えている。ここでは、中古建設機械取扱業界の市場動向やビジネスモデル、M&Aの買い手側によるデュー・ディリジェンスにおける注意点、企業価値評価(株価算定)で使う数値(マルチ...

近年、印刷業界のM&Aが増えている。ここでは、印刷業界の市場動向やビジネスモデル、M&Aの買い手側によるデュー・ディリジェンスにおける注意点、企業価値評価(株価算定)で使う数値(マルチプルなど)について説明する。これらから、印刷業界において...
17/02/2021

近年、印刷業界のM&Aが増えている。ここでは、印刷業界の市場動向やビジネスモデル、M&Aの買い手側によるデュー・ディリジェンスにおける注意点、企業価値評価(株価算定)で使う数値(マルチプルなど)について説明する。これらから、印刷業界においてM&Aを成功させるためのポイントについて考えてみたい。 M&Aの多い印刷業界の現状 印刷業界の全体像を理解するために、市場動向や経営環境、ビジネスモデル、M&Aの買い手候補となる同業他社について説明する。 印刷業界の市場動向・経営環境 印刷業は、顧客からの注文を受けて、指定された紙質、サイズ、数量などに基づいて印刷物を制作する事業者のことをいう。情報を印刷する際に編集、デザイン、画像処理などの情報処理が必要とされる。 紙面への印刷は、インターネットの普及によって市場が縮小している。 経済産業省「工業統計表・産業別統計表(平成29年度)」によれば、印刷業の市場規模は、2010年の7兆9千億円から2020年の7兆4千億円へ減少しており、デジタル化の進展によってさらに減少することが予想される。 印刷業界のビジネスモデル 印刷業のビジネスモデルは、出版社、事業会社、官公庁など顧客から注文されて印刷を行うという受注生産型の製造業である。書類の印刷だけでなく、包装材、パッケージ、壁紙の印刷がある。 多品種少量生産で労働集約的な製造業であることから、地域密着型の中小零細企業が多数存在している。 紙媒体への印刷が減少してきたことから、データ入力から顧客リストの管理、販促プランの提案まで一括して販促を請け負う総合的なアウトソーシング業態へ転換することが求められている。 印刷業界M&Aで買い手候補となる企業 印刷業の事業承継を目的としたM&Aであっても、買い手候補は上場企業や大企業が中心になると考えられる。この業界では、以下のような大企業が中心となって業界再編を進めていくことが想定される。 共同印刷、廣済堂、朝日印刷、サンメッセ、ダイナパック、佐川印刷、竹田印刷、光村印刷、中本パックス、共立印刷、福島印刷、野崎印刷紙業、光ビジネスフォーム、総合商研、セキ、日本創発グループ、ビーアンドピー、東洋紙業、アベイズム、真生印刷、小松印刷である。 印刷業界M&Aで売却する売り手のメリット 安定している大手企業にM&Aで印刷業を承継することで、従業員の雇用を維持し、事業のさらなる成長を実現することができる。また、得意先である出版社や事業会社は、緊密な関係にある印刷業者との取引を継続することもできる。 また、小規模事業者が単独では難しかったIT投資によるデジタル化の推進よって、印刷業の経営高度化を実現することができる。結果として生産性が向上すれば、従業員の給与水準をアップさせることができるだろう。 さらに、買い手企業が大企業であれば、生産規模の拡大による生産性向上、大量仕入れによる原材料費の引下げや、人材採用コスト、広告宣伝費、本社経費を削減し、M&Aによるシナジー効果を得ることができる。 以上のようなシナジー効果が期待され、買い手候補にとって魅力的な事業であれば、売り手側の経営者は、高い売却価格を実現することができ、引退した後のライフプランを充実したものとすることができる。 印刷業界M&Aで買収する買い手の注意点 印刷業界で買収を行う際、デュー・ディリジェンスにて調査すべき経営資源や注意点を説明する。 印刷業の買収デュー・ディリジェンスにおける注意点 印刷業は、印刷機械の技術革新が早く、耐用年数を経ない早い時期に新型機械設備へ転換しなければいけないという特徴がある。このような転換が遅れ、機械設備が陳腐化しているとすれば、買収した後に新たな設備投資が必要となるため、注意する必要がある。 印刷業の買収で承継すべき経営資源 印刷業では、デザイン力や企画・編集力を有する従業員が基本となる経営資源である。受注するときに、顧客との細かい連絡が必要であること、情報管理の厳格さが求められることから、顧客との取引関係の継続性は強くなる。それゆえ、長期継続した顧客関係を承継することが重要である。 また、最新技術を有する機械設備が経営資源となる。 顧客関係のような無形資産は、事業承継によって喪失されることが多いため、印刷業のM&Aを行う場合は、個別の顧客関係の引継ぎに時間と労力をかけるなど、丁寧に承継を行うことが必要である。 印刷業を買収するときの企業価値評価(株価算定) 印刷業のM&Aにおける企業価値評価(株価算定)を行う際に活用することができる財務数値は、以下の通りとなっている。 印刷業の評価で使う資本コストとマルチプル まず、TKC経営指標(2018年度)によれば、印刷業の収益性について、売上高成長率は約3.2%である。また、粗利率は25.0%、営業利益率は2.0%となっている。生産性について、1人当たり売上高は1,422万円、1人当たり人件費は432万円となっている。 次に、2020年8月現在の開示情報および市場株価によれば、印刷業のマルチプル(倍率)について、PBR倍率は0.5~0.6倍、PER倍率は15~20倍、EBITDA/企業価値倍率は6~8倍となっている。 さらに、筆者が推計する印刷業の株主資本コストは8%が妥当であると考える。これは、この類似上場企業のROICが1~2%であることを考慮しつつ、類似上場企業のベータ値が0.6~0.7であること、ヒストリカル・マーケット・リスク・プレミアム(1950年代~2020年)が7%~9%であることを前提にして、小規模リスク・プレミアムを加算して推計している。 印刷業の類似上場企業比較法で採用すべき企業の例 印刷業を評価する類似上場企業比較法で採用すべき上場企業として、共同印刷(7914)、朝日印刷(3951)、サンメッセ(7883)、ダイナパック(3947)、竹田印刷(7875)、光村印刷(7916)、共立印刷(7838)、野崎印刷紙業(7919)、光ビジネスフォーム(3948)、総合商研(7850)、セキ(7857)、日本創発グループ(7814)が挙げられる。 大日本印刷、凸版印刷は規模が大きすぎることから除外したほうがよいだろう。

近年、印刷業界のM&Aが増えている。ここでは、印刷業界の市場動向やビジネスモデル、M&Aの買い手側によるデュー・ディリジェンスにおける注意点、企業価値評価(株価算定)で使う数値(マルチプルなど)について説明す...

近年、スポーツ用品製造業界のM&Aが増えていう。ここでは、スポーツ用品製造業界の市場動向やビジネスモデル、M&Aの買い手側によるデュー・ディリジェンスにおける注意点、企業価値評価(株価算定)で使う数値(マルチプルなど)について説明する。これ...
17/02/2021

近年、スポーツ用品製造業界のM&Aが増えていう。ここでは、スポーツ用品製造業界の市場動向やビジネスモデル、M&Aの買い手側によるデュー・ディリジェンスにおける注意点、企業価値評価(株価算定)で使う数値(マルチプルなど)について説明する。これらから、スポーツ用品製造業界においてM&Aを成功させるためのポイントについて考えてみよう。 M&Aの多いスポーツ用品製造業界の現状 スポーツ用品製造業界の全体像を理解するために、市場動向や経営環境、ビジネスモデル、M&Aの買い手候補となる同業他社について説明する。 スポーツ用品製造業界の市場動向・経営環境 スポーツ用品製造業は、運動用品を製造する事業者のことをいう。 スポーツ用品製造業の市場規模は、経済産業省「工業統計表・産業別統計表(平成29年)」によれば、2012年の2,493億円から2016年の2,783億円へと増加している。これは、フィットネス・クラブ、シューズ、スポーツ用自転車の人気が高まったことに起因している。逆に、ゴルフ、スキーは減少している。 スポーツ用品製造業界のビジネスモデル スポーツ用品製造業のビジネスモデルは、スポーツ用品を製造し、卸売業者に販売するというものである。近年は小売店の大型化が進み、卸売業者を通さずに小売店へ直接販売するケースが増えてきた。 多品種少量生産が特徴である。近年は、生産コストの低減を図るため、ほとんどの大手企業は、東南アジアや中国へ工場を移転した。 スポーツ用品製造業界M&Aで買い手候補となる企業 スポーツ用品製造業の事業承継を目的としたM&Aであっても、買い手候補は上場企業や大企業が中心になると考えられる。この業界では、以下のような大企業が中心となって業界再編を進めていくことが想定される。 シマノ、アシックス、デサント、ゴールドウィン、ヨネックス、グローブライド、ミズノ、遠藤製作所である。 スポーツ用品製造業界M&Aで売却する売り手のメリット 安定している大手企業にM&Aであるポーツ用品製造業を承継することで、従業員の雇用を維持し、事業のさらなる成長を実現することができる。また、得意先である○○は、○○を継続して購入することもできることに加え、○○メーカーや○○商社などの仕入先との関係を継続することができる。 また、小規模事業者が単独では難しかったIT投資によるデジタル化の推進よって、スポーツ用品製造業の経営効率化を実現することができる。結果として生産性が向上すれば、従業員の給与水準をアップさせることができるだろう。 さらに、買い手企業が大企業であれば、店舗規模の拡大による生産性向上、大量仕入れによる原材料費の引下げや、人材採用コスト、広告宣伝費、本社経費を削減し、M&Aによるシナジー効果を得ることができる。 以上のようなシナジー効果が期待され、買い手候補にとって魅力的な事業であれば、売り手側の経営者は、高い売却価格を実現することができ、引退した後のライフプランを充実したものとすることができる。 スポーツ用品製造業界M&Aで買収する買い手の注意点 スポーツ用品製造業界で買収を行う際、デュー・ディリジェンスにて調査すべき経営資源や注意点を説明する。 スポーツ用品製造業の買収デュー・ディリジェンスにおける注意点 スポーツ用品製造業は、不良品の発生率が高いこと、売れ残りが多く発生すること、季節替わりによる商品入れ替えが必要であることから、返品率が高いと言われている。返品されたもので、陳腐化した在庫が無いか確かめることが必要である。 また、自社工場を海外で所有する場合、生産設備の利用が適切に行われているか、労務管理は適切であるか、コンプライアンスは遵守されているか、調査しなければいけない。 スポーツ用品製造業の買収で承継すべき経営資源 スポーツ用品製造業では、海外の生産拠点が基本となる経営資源である。自社工場であれば適法に所有権を移転しなければいけない。また、協力工場との契約があれば、その契約関係を承継しなければいけない。 そして、デザイン面での商品開発を継続的に行うことができる人材は、重要な人的資源である。新商品の開発に必要となる人材が流出しないように注意したい。 無形資源は、事業承継によって喪失されることが多いため、スポーツ用品製造業のM&Aを行う場合は、従業員の引継ぎに時間と労力をかけるなど、無形資産の承継を丁寧に行うことが重要だろう。 スポーツ用品製造業を買収するときの企業価値評価(株価算定) スポーツ用品製造業のM&Aにおける企業価値評価(株価算定)を行う際に活用することができる財務数値は、以下の通りとなっている。 スポーツ用品製造業の評価で使う資本コストとマルチプル まず、TKC経営指標(2018年度)によれば、スポーツ用品製造業の収益性について、売上高成長率は約0.4%である。また、粗利率は33.1%、営業利益率は2.5%となっている。生産性について、1人当たり売上高は1,322万円、1人当たり人件費は420万円となっている。 次に、2020年8月現在の開示情報および市場株価によれば、スポーツ用品製造業のマルチプル(倍率)について、PBR倍率は1.0~3.0倍、PER倍率は25~40倍、EBITDA/企業価値倍率は15~25倍となっている。 さらに、筆者が推計するスポーツ用品製造業の株主資本コストは、安定した老舗企業であれば8%、急成長の新興企業であれば13%が妥当であると考える。これは、この類似上場企業のROICが4~5%であることを考慮しつつ、類似上場企業のベータ値が0.7~1.2であること、ヒストリカル・マーケット・リスク・プレミアム(1950年代~2020年)が7%~9%であることを前提にして、小規模リスク・プレミアムを加算して推計している。 スポーツ用品製造業の類似上場企業比較法で採用すべき企業の例 スポーツ用品製造業を評価する類似上場企業比較法で採用すべき上場企業として、グローブライド(7990)、シマノ(7309)、アシックス(7936)、デサント(8114)、ゴールドウィン(8111)、ヨネックス(7906)、グローブライド(7990)、ミズノ(8022)が挙げられる。

近年、スポーツ用品製造業界のM&Aが増えていう。ここでは、スポーツ用品製造業界の市場動向やビジネスモデル、M&Aの買い手側によるデュー・ディリジェンスにおける注意点、企業価値評価(株価算定)で使う数値(マルチ...

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