03/04/2026
年間110万円の贈与。
各年に自由な判断で贈与したのではなく、最初から“6年間・毎年110万円”というパッケージで約束していたと認定されれば、暦年贈与とは扱われにくいとのこと。
国税庁は、『毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受けることが贈与者との間で契約・約束されている場合には、その約束をした年に「定期金給付契約に関する権利」の贈与を受けたものとして贈与税がかかる』と明示しています。
プロに確認するしかないですね。
「残念ですが認められません」孫へ6年連続〈年110万円〉を贈与した70代女性、万全のはずの書面でも〈追徴課税〉となった理由
4/1(水) 10:00配信
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン)
(※写真はイメージです/PIXTA)
相続対策として孫への生前贈与を選ぶ人は少なくありません。国税庁によると、令和6年分の贈与税の申告人員は47万人、申告納税額は3,935億円にのぼりました。暦年課税では1年間に受けた贈与の合計額から基礎控除110万円を差し引いて贈与税を計算しますが、毎年同額を渡していても、最初から数年分を約束していた場合は別の扱いになることがあります。
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「万全のはずだった」暦年贈与…見落としていた“6年分の約束”
「書面も残していたし、銀行振込にもしていた。これで大丈夫だと思っていたんです」
そう振り返るのは、節子さん(仮名・70代)です。夫に先立たれたあと、相続税対策も兼ねて、大学進学を控えた孫に少しずつ資産を移したいと考えるようになりました。知人から「年110万円までなら贈与税はかからない」と聞き、毎年その範囲内で贈与する方法を選んだといいます。
贈与は、孫が18歳になった年から始まりました。毎年1回、110万円を孫名義の口座に振り込み、そのつど簡単な贈与契約書も作成。署名押印もそろえ、「証拠はきちんと残している」という意識がありました。
「現金で渡すよりも、通帳に残る方が安心だと思ったんです。契約書まで作っておけば、あとで何か言われることはないだろうと」
実際、最初の数年は何の問題もないように見えました。孫は大学生になり、節子さんも「これで少しは将来の助けになる」と胸をなで下ろしていたそうです。
ところが、相続を見据えた税務相談の過程で、状況が一変します。税理士に過去の資料を見せたところ、1枚のメモを指摘されたのです。そこには、贈与を始めた年に家族内で共有していた予定表のようなものがあり、「今後6年間、毎年110万円ずつ贈与する」と記されていました。
「それはただの予定メモみたいなものでした。きちんとした契約書ではないし、あくまで家族の確認用のつもりだったんです」
しかし、税理士の見方は違いました。
「各年の独立した贈与ではなく、最初の年に“6年分まとめて渡す約束”が成立していたと見られる可能性があります」
節子さんは耳を疑ったといいます。
「だって、実際に渡したのは毎年110万円ずつです。まとめて660万円を一度に渡したわけじゃないんですから」
書面があっても認められない…税務署が見た“形式より実態”
しかし国税庁は、毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受けることが贈与者との間で契約・約束されている場合には、その約束をした年に「定期金給付契約に関する権利」の贈与を受けたものとして贈与税がかかる、と明示しています。
つまり、各年に自由な判断で贈与したのではなく、最初から“6年間・毎年110万円”というパッケージで約束していたと認定されれば、暦年贈与とは扱われにくいのです。
さらに、孫名義の口座の通帳と印鑑を実際には節子さん側が管理していたことも、問題を複雑にしました。国税庁は、扶養義務者からの生活費や教育費であっても、必要な都度直接使うためのものでなければ非課税にはならず、預金されたままなら贈与税の対象になり得るとしています。今回のケースは教育資金の一括贈与特例を使っていたわけでもなく、孫本人が自由に管理していたとも言い切れませんでした。
数ヵ月後、税務署からの結論は厳しいものでした。
「残念ですが、これは各年の独立した贈与とは認められません」
節子さんは、その文言を見た瞬間、膝の力が抜けたといいます。
「書面まで作っていたのに、どうして……という気持ちでした」
書面があっても安心できない…追徴課税につながった“決定的なポイント”
税務署が重く見たのは、「契約書があったかどうか」よりも、「実際にどんな約束が成立していたのか」でした。毎年同じ時期に、同じ金額を、同じ口座へ振り込む。しかも開始時点で6年分の予定が家族内で共有されていた。こうした事情が重なると、形式上は年ごとの契約書があっても、実質は最初の年にまとまった贈与の約束が成立していた、と判断されやすくなります。
「毎年その年になってから、“今年も渡そうか”と決めていれば違ったのかもしれません。でも、私は最初から6年続けるつもりでした。そこを見られたんだと思います」
結果として、節子さんには贈与税の本税に加え、加算税や延滞税の負担も生じる見込みだと説明されました。相続対策のつもりで始めたことが、かえって余計な税負担を招く形になったのです。
「節税しているつもりだったのに、逆でした。孫のために残したいと思っていたお金が、税金で削られるのが本当に悔しかった」
“110万円なら安心”という誤解…暦年贈与で問われるポイント
今回のようなケースは“年110万円以下なら絶対安全”という誤解が背景にあります。実際には、暦年贈与として成立させるには、その年ごとに贈与の意思と受贈の意思があり、受け取った側が財産を自由に管理・処分できる状態になっているかが重要です。単に毎年同額を機械的に移し、通帳や印鑑を贈与する側が持ち続けていれば、形式だけ整えても否認リスクは残ります。
節子さんは現在、税理士と相談しながら対応を進めています。そして、孫への資金援助も「税金対策ありき」ではなく、必要な時期と使い道を確認したうえで進める考えに変わったといいます。
「書面があれば大丈夫、110万円なら大丈夫、と思い込んでいました。でも本当に大事なのは“形”ではなく“実態”だったんですね」
生前贈与は、次世代への資産移転として有効な方法になり得ます。ですが、数字だけをなぞった節税は、思わぬ形で足元をすくわれることがあります。
THE GOLD ONLINE編集部
相続対策として孫への生前贈与を選ぶ人は少なくありません。国税庁によると、令和6年分の贈与税の申告人員は47万人、申告納税額は3,935億円にのぼりました。暦年課税では1年間に受けた贈与の合計額から基