11/06/2026
小規模建築物基礎設計指針の改訂からスクリューウエイト貫入試験で沈下量計算書が必要という依頼が出てきました。
安請合いの地盤調査はもうできません。
〇地盤改良工法選びは「対話」から始まる
地盤改良工事が必要かどうかの判断は、多くの場合、平成13年国交省告示第1113号第2に示されている条件をもとに検討されます。
たとえば、
・基礎底面から下方2mまでの範囲に、Wswが1kN以下の層がある
・基礎底面から下方2m〜5mまでの範囲に、Wswが0.5kN以下の層がある
といった場合です。
ただし、ここで大切なのは、告示が「地盤改良をしなさい」と言っているわけではないということです。
告示が求めているのは、建築物の自重による沈下が、建築物にどのような影響を及ぼすかを検討することです。
これまでは、SWS試験結果に基づく簡易な沈下量計算によって、改良の要否を判断することが多く行われてきました。
しかし、2025年版の小規模建築物基礎設計指針では、このような簡易計算だけに頼るのではなく、地形、造成履歴、近隣ボーリングデータなどから土質を推定し、沈下リスクを総合的に判断することが推奨されています。
そしてもう一つ重要なのが、リスクと対策について、お客さんにきちんと説明し、協議することです。
では、何を話し合うべきなのでしょうか。
たとえば、次のような内容です。
・その土地には、どのような地盤リスクがあると考えられるのか
・なぜ、そのリスクがあると考えるのか
・対策方法には、どのような選択肢があるのか
・それぞれの対策で、どこまでリスクを低減できるのか
・その効果には、どの程度の確実性、または不確実性があるのか
・対策工事によって生じるデメリットはないのか
・より詳しく調べる場合、どのような調査が必要で、どの程度の費用がかかるのか
・リスクの全貌が分かった場合、お客さんにとってどのようなメリット・デメリットがあるのか
地盤改良工法を選ぶときに大切なのは、単に「改良する/しない」を決めることではありません。
その土地にあるリスクを建築主が理解し、建築士として現時点で最善と考える対策を説明したうえで、お客さんにも選択の余地を残すことです。
もちろん、建築士として提示する対策は、最低限の安全性と品質を確保できるものでなければなりません。
たとえば、不同沈下リスクを十分に低減することは、建築士として当然考慮すべき必須条件です。
一方で、将来の撤去性、土地利用への影響、資産価値への影響といった問題は、建物の安全性とは少し性質が異なります。
これらは、お客さんに説明したうえで、どこまで重視するかを一緒に考えるべき内容です。
つまり、建築士に求められるのは、敷地に存在するリスクをできる限り把握し、
「説明すべきリスク」
と
「安全性を確保するために当然考慮すべきリスク」
を分けて整理することだと思います。
地盤改良工法の選定は、技術だけで完結する話ではありません。
工務店経営者や住宅設計に関わる建築士の方には、自社のリスク低減のためにも、地盤改良の判断プロセスとお客さんへの説明内容を、一度見直してみることをおすすめします。
【イラストについて】平成13年国交告1113号第2に示された沈下の検討を必要とするSWS試験結果を整理したものです。この条件に当てはまるSWS試験結果は沈下の影響検討が必要とされています。ただし、この内容、法律上は、構造計算をする案件にしか適用されません。とはいうものの、仕様規定で設計する場合も役立つ内容なので利用することが多いのが実態です。
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