18/06/2026
成年後見制度が大きく変わる!
2026年6月17日、成年後見制度を大幅に見直す改正民法が国会で成立しました。
成年後見制度は、認知症や知的障害などにより判断能力が低下した方を支援するための制度ですが、
「一度始めると亡くなるまでやめられない」
「必要以上に財産管理が制限される」
「専門職後見人の報酬負担が続く」
などの課題が指摘されていました。
今回の改正は、2000年の制度開始以来最大の見直しとされており、より利用しやすい制度へと大きく変わります。
なぜ改正が行われたのか
日本では高齢化が進み、認知症高齢者は400万人を超えると推計されています。
一方で成年後見制度の利用者は約26万人程度にとどまり、
「使い勝手が悪い」
「費用負担が重い」
という理由から利用をためらう方も少なくありませんでした。
特に相続手続や不動産売却のために後見制度を利用した場合でも、その後亡くなるまで制度利用が継続してしまう点が大きな問題となっていました。
改正のポイント① 終身制の廃止
今回の改正で最も注目されているのが、
「終身制の廃止」
です。
これまでは、一度後見が開始されると原則として本人が亡くなるまで終了できませんでした。
しかし改正後は、
・相続手続が終了した
・不動産売却が完了した
・必要な支援が終了した
などの場合には、家庭裁判所の判断により制度利用を終了できるようになります。
まさに「終われる後見制度」への転換です。
改正のポイント② 「後見」「保佐」「補助」の一本化
現行制度では、
・後見
・保佐
・補助
の3類型に分かれています。
改正後は「補助」に一本化され、本人の状態や必要な支援内容に応じて柔軟に権限を設定する仕組みになります。
これにより、
「不動産売却だけ支援してほしい」
「遺産分割だけ代理してほしい」
といったオーダーメード型の利用が可能になります。
改正のポイント③ 本人の意思を尊重
今回の改正では、
「本人の意思の尊重」
が明確に打ち出されています。
従来は財産保護が中心でしたが、今後は
「本人がどのような生活を望むのか」
を重視しながら支援を行う方向へ変わります。
不動産オーナーへの影響
今回の改正は、不動産を所有している高齢者にとって非常に大きな意味があります。
認知症になると、
・自宅の売却
・アパートの売却
・土地活用
・老人ホーム入居資金の確保
などが難しくなる場合があります。
しかし後見制度が使いやすくなることで、必要な場面だけ制度を活用し、目的達成後は終了できる可能性が高まります。
ただし、認知症になった後では選択肢が限られるため、
「元気なうちの対策」
が依然として重要であることに変わりありません。
家族信託や任意後見の重要性は変わらない
今回の改正により成年後見制度は大きく改善されます。
しかし、
・資産承継
・不動産売却
・賃貸経営
・相続対策
などを柔軟に行いたい場合には、
家族信託や任意後見契約が有効なケースも多くあります。
特に不動産オーナーの場合は、
「家族信託+任意後見」
の組み合わせが引き続き有力な選択肢となるでしょう。
施行時期はいつ?
改正民法は2026年6月17日に成立しました。
施行時期については、
「公布の日から2年6か月以内」
とされており、2028年後半頃の施行が見込まれています。
したがって、現時点では現行制度が継続されます。
まとめ
今回の成年後見制度改正は、
「終身制から必要期間利用へ」
という大きな転換点になります。
一方で、認知症になってからでは利用できる制度や選択肢が限られることに変わりはありません。
不動産を所有している方や、有料老人ホームへの入居を検討している方は、元気なうちから
・家族信託
・任意後見
・遺言
・生前対策
を含めた総合的な資産管理対策を検討することが重要です。
今後の高齢化社会において、「資産凍結を防ぐための準備」はますます重要になるでしょう。